翻訳記事

この記事は、Magdalena Firlit さんの「Price is What you Pay, Value is What You Get」を翻訳したものです。翻訳は Magdalena さんの許諾をいただいています。誤訳、誤字脱字がありましたら、ご指摘ください。

はじめに

価格はあなたが支払うもので、価値はあなたが得るもの

ウォーレン・バフェット

このフレーズは、金融市場、価格価値や株式などの事業評価に関する考え方です。しかしながら、このフレーズは普遍的なものでもあるため、私はプロダクトオーナーシップやプロダクトにおける機能の有用性にも用いています。この言葉は、私にもそしてプロダクトオーナーにも心に響くものがあるはずです。ウォーレン・バフェットの考えをアジャイルプロダクトマネジメントに置き換えると、顧客が支払わなければならない価格と、顧客やユーザーに提供される価値との違いといえます。

対価に見合った価値を得られないとは

顧客がプロダクトやサービスに料金を支払ったにも関わらず、何の価値も得られなかった(あるいは、ほとんど価値を得られなかった)ら、どうなるのでしょうか?

答えは明白ですね。しかしながら、私はそれをあえて強調したいです。例えば、顧客はフラストレーションを覚え、不満を抱きます。そして、あなたのプロダクトを勧めなくなっていくことでしょう。その上、組織はムダなものを提供するために予算、時間、メンバーのスキルと創造性を投資しているわけなので、プロダクトのコストは膨大になっていきます。興味深いことに、多くの組織において、未だにこの事実に目を向けようとしていないプロダクトオーナーやステークホルダーがいるのです。

企業によっては、優れたマーケティングキャンペーンでプロダクトの課題を解決できると考えるところもあるでしょう。明らかに、広告は一時的にプロダクトの使用率や収益を増加させることになるかもしれません。しかし、広告は顧客がプロダクトの価値を見出すことを保証するようなものではありません。

プロダクトの機能の大半は、ほとんど使われていないか、まったく使われていないことを忘れないでください。その主な理由は、組織が必要のない機能を提供しているからなのです。

改めて「価値」とは

でも、待ってください。価値とはなんでしょうか。

私たちは、価値とは「アウトカム」と定義しています。アウトカムとは、顧客やユーザーの振る舞いや期待する体験における計測可能な変化のことです。

例えば、システムの操作に過度な労力がかかることで、顧客がフラストレーションを覚えている場合、顧客のアウトカムは、潜在的には「X」という活動を行う時間を短縮することになるでしょう。

どうすべきか

では、このような事態を防ぐにはどうすべきでしょうか。

  • ユーザーと顧客を知る
  • 顧客やユーザーのアウトカムに注力する
    プロダクトゴールは収益だけではなく、これらのアウトカムを反映させる必要がある 【参考記事
  • 機能性を実験する
    実験は提供するための時間と費用を投資する前に行う必要がある。顧客やユーザーに直接実験を行える可能性がある。プロダクトにおける実験についてはこちらの記事を参照のこと。

価値とは、ユーザーや顧客がプロダクトやサービスから恩恵を得ることです。多くの価値を顧客に提供すればするほど、それによって多くの有益をもたらすはずです。1

この記事では、価値のひとつの視点だけを取り上げました。今回フォーカスしたのは、アウトカムと顧客価値です。ビジネス価値については、敢えて省略しています。かろうじて収益という意味で扱っています。ビジネス価値については、別記事でと考えています。ご期待ください。

この記事はAIではなく、人間であるMagdalena Firlitが執筆しました

  1. The Elements of Value ↩︎

本記事の翻訳者:

長沢智治

長沢 智治 – アジャイルストラテジスト

  • サーバントワークス株式会社 代表取締役
  • Agile Kata Pro 認定トレーナー
  • DASA 認定トレーナー

認定トレーナー

DASAプロダクトマネジメント認定トレーナー
DASA DevOpsファンダメンタル認定トレーナー

認定試験合格

Professional Scrum with User Experience
PAL-EBM
Professional Scrum with Kanban
Professional Scrum Product Backlog Management Skills
Professional Scrum Facilitation Skills
Professional Product Discovery and Validation
Agile Kata Foundation
DASA Product Management
DASA DevOps Fundamentals

『More Effective Agile』、『Adaptive Code』、『今すぐ実践!カンバンによるアジャイルプロジェクトマネジメント』、『アジャイルソフトウェアエンジアリング』など監訳書多数。『Keynoteで魅せる「伝わる」プレゼンテーションテクニック』著者。

Regional Scrum Gathering Tokyo 2017, DevOpsDays Tokyo 2017, Developers Summit 2013 summer 基調講演。スクー講師。

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