やらない理由は湧いて出てくる

取り組みを始める際に、結局は「やらない理由」を探してしまっていて頓挫してしまうことはよくあります。取り組みに対する活動を洗い出すだけでも大変なのに、その阻害要因(障害物)を想定すると複雑さに圧倒されてしまうからです。

なぜそのようなことが起きてしまうのでしょうか。

最初からよくわかっていることなんてない

活動と阻害要因を洗い出すことがとても困難なのは、その状況を予想できないといけないからです。あらゆる活動とそこにでてくるリスクを見出し、要因分析し、とやっていくことになりますが、新たな取り組みを行うということはほとんどが今まで取り組んでいなかったことを行うので、予想して、想定するのはとても複雑で難しい作業なのです。

これに対して、「活動と阻害要因が洗い出せていないなら行うべきでない」というのはごもっともな意見ではありますが、結果として『やらない理由づくり』になってしまうことも否定できないのではないでしょうか。

もし最初から予想ができて、想定できるならば、今までなんでそれをやらなかったのかを責めるべきです。機会損失しているのでそこを変える必要があるはずです。しかしながら、最初からわからないからこそ取り組むべきなので、その場合は、問題領域がどこなのかと考えると、複雑な領域になるはずなのです。

クネビンフレームワーク
Cynefin Framework での問題領域

実験

では新たな取り組みにはどう向き合っていくべきかというとひとつの考え方としては、「実験」があります。やってみることで実証と反証から学び、次の実験を行なっていくということです。実験ですから、実証と反証ができるのでエビデンスベース(根拠ベース)で行なっていけます。決して場当たり的にやっていくわけではありません。

実験するには、まず『目標』を立てることが大事です。ただし、目標は、仮説でも仮設定でも構いません。計測できる目標としてのゴール設定がなされていることが大切になります。目標があれば、あとは活動していけばいいというわけにもいきません。活動自体が定まらない、いろいろな選択肢があるはずだからです。この活動をすれば目標達成できるとわかっているならば、さっさとやればいいのですから。

そこで活動や阻害要因を洗い出す前に、お勧めしたいのが、前提条件を出すことです。

前提条件から活動と阻害要因をあぶり出す

目的に到達する、目標を達成するためには、必ず前提となる条件があります。

「〇〇になるには、××がわかっていること」などと表現すると××が前提条件になります。前提条件が分かれば、その前提が満たせるような活動を見つけやすくなります。また、前提条件が満たせない理由は阻害要因になります。これを繰り返していくと、目標に向かっていくための小さな道筋としての目標が見えてきます。それによって目標に近づいているか、目標自体が妥当かどうかの検証もできるようになってきます。

また、前提条件について合意形成できれば、やり方には柔軟性が生まれて、前提条件を満たすために協力もしやすくなります。前提条件が不鮮明で、合意形成ができないと、細かな活動や阻害要因に対して議論することになります。これはなかなか合意形成が難しいです。WHYとWHATとHOWの要素が混在するからですね。HOWで合意できないだけなのにWHYもWHATも合意できていないことになりがちです。

メモ

スクラムだと、「プロダクトゴール」と「スプリントゴール」の設定やこれらの関係を考える際にも役に立つと思いますので、ぜひチャレンジしてみてください。

まとめ

なかなか新たな取り組みが進まないなと思ったら、まずは前提条件を考えてみてください。そこから活動と阻害要因を洗い出すようにしてみてください。また、お気軽にご相談ください。

本記事の執筆者:

長沢智治

長沢 智治

サーバントワークス株式会社 代表取締役。NOTA Inc. アドバイザリーボード。DASA アンバサダー/認定トレーナー。

長沢智治の認定資格

『More Effective Agile』、『Adaptive Code』、『今すぐ実践!カンバンによるアジャイルプロジェクトマネジメント』、『アジャイルソフトウェアエンジアリング』など監訳書多数。『Keynoteで魅せる「伝わる」プレゼンテーションテクニック』著者。

Regional Scrum Gathering Tokyo 2017, DevOpsDays Tokyo 2017, Developers Summit 2013 summer 基調講演。スクー講師。

プロフィール