翻訳

本記事は、「How to Create an Agile Community of Practice」の翻訳です。翻訳については、著者の Stefan Wolpers さんに快諾いただきました。誤字脱字や誤訳がありましたらご指摘ください。

 TL;DR: アジャイルのプラクティスコミュニティを立ち上げるには

アジャイルのプラクティスコミュニティを作ることは、アジャイルへの移行に信頼をもたらすものです。これは組織におけるハート&マインドを勝ち取るために役に立ちます。労力が単に管理の流行りでないことを示すことができます。

続きを読むと、予算を確保しなくてもアジャイルコミュニティを立ち上げる方法や、分散チームでアジャイルコミュニティを運営する方法を知ることができます。

アジャイルな組織になる方法 – 計画と現実が合致するとき

一般的に、アジャイルな組織になるためのレシピは次のようになります:

組織の文化と軌道を変えるには、Cレベルのコミットメントが必要です
そしてもちろん、自律的で、向上心があり(熟達)、目的を果たすことを望んでいる現場メンバーの強力なサポートが必要です。それから、組織階層のトップとボトムで、サーバントリーダーになれるようにミドルマネジメント(中間管理職)に動機付けできるよう一致団結します(または、おそらく Haier のように します)。
そこで、実行計画としては、多くの場合は、より実行可能なロールアウトの計画の目星をつけるためにコンサルタント会社に依頼するところから始めます。それらのほとんどは、研修やワークショップ、初期段階のチームビルディング、そしておそらく財務報告要件や、技術やガバナンスの課題に関する監査などがあるでしょう。
これらの編成された取り組みがしばしば見過ごしてしまうのは、草の根での成功した変化です。自己管理できる方法とそのための変化のプロセスを醸成するには、組織のメンバーに対して必要な部屋や資源を提供すべきです。
アジャイルへの移行を成功させるには、アジャイルのプラクティスコミュニティが必要となります。

アジャイルのプラクティスコミュニティの目的

アジャイルのプラクティスコミュニティの目的は、2つの次元を持ちます:

  1. 内部向け

    アジャイル実践者やチェンジエージェントの教育的な役割を果たします。チームのレベルで車輪の再発明をする必要はありません。成功事例や失敗事例を定期的に共有することで、学習の負担を大幅に軽減できます。

  2. 外部向け

    アジャイルのプラクティスコミュニティは、社員(メンバー)に情報を提供したり、教育したりすることで、スクラムを取り入れていない組織やチームにスクラムを知ってもらったり、取り入れたりすることに貢献できます。アジャイルコミュニティのメンバーは、最初のサーバントリーダーとしての役割を担い、アジャイルな組織になることが実際に何を意味するのかを示すロールモデルとなります。彼らの献身は、信憑性をもたらします。

日々、良い手本となる様に行動したり、支援したりすることでハート&マインドを勝ち取ることは、手間のかかり、あまり華やかな仕事ではありません。とても粘り強さが求められます。「No!」と投げ出してしまいそうになりますが、もう一度がんばりましょう。アジャイルへの移行の転換点に到達には、最初のうちはほとんど進展の兆しがなく、ゆっくりとした取り組みである可能性が高いです。さらに、マネジメントは、これらの見込める遅延を過小評価する傾向があります。新しい社会規範の受け入れへの過程に対する最近の研究によると、組織におけるソーシャルチェンジ(社会変革)の転換点はおよそ25%です。それは、献身的な少数派は、大義に加わろうとする人たちを引きつけることができれば、永続的に効果をもたらすることが可能です。

アジャイルのプラクティスコミュニティのためのサービスと提案のポートフォリオ

内部向けの提案とコミュニティへの貢献

アジャイルのプラクティスコミュニティにおけるメンバーの向上心を向上させることはロケット科学とは違います。私のおすすめは以下の通りです:

  • 共有は思いやり

    情報を溜め込んでしまうことは、アジャイル実践者にとっては、最悪のアンチパターンの1つです。したがって、すべてを共有することは有用です。例えば、ふりかえりのエクササイズから情報リソース(ニュースレターやブログ記事など)、活動の資源や消耗品までを共有します。Wikiはスタートするのに適した場所になります。

  • 研修と教育(その1)

    アジャイル実践者同士で定期的にワークショップを開催して、お互いに練習し合います。全員が同じ場所にいない場合は、あとで利用できるように研修を録画したり、ライブでのバーチャルクラスを開催したりします。リベレイティングストラクチャ(LS: Liberationg Structures)を用いて、全員が参加し、発言できることを保証しましょう。私の Professional Scrum Training クラスでは、現在はライブのバーチャルクラスとして開催していて、参加者からとても素晴らしいフィードバックをもらっています。分散チームだからといって変革のための研修をスキップしていい理由にはなりません。

  • 研修と教育(その2)

    予算があるならば、Marty Cagans を招いて、トレーナーを養成してもらいましょう。このような研修が、チェンジエージェントに及ぼす心理的な影響を過大に評価することはできません。組織が求めているならば、その変化こそがリーダーシップであることを証明しています。

  • イベントを開催

    アジャイル実践者と組織のメンバーのために、毎月定期的に(バーチャルでも)イベントを開催しましょう。外部のスピーカーを招いてミートアップを主催したりもしましょう。可能であれば、すべての実践者が一度は直接会える、1日かがりのミニカンファレンスを少なくとも四半期に1回は開催してみましょう。それが難しい場合は、代わりにバーチャルカンファレンスを開催しましょう。

  • 年次のカンファレンスを開催

    1年に一回、組織全体で「アジャイルステート(State of Agile)」カンファレンスの開催を検討しましょう。学びや、成功体験、失敗体験を共有する機会として開催しましょう。繰り返しになりますが、バーチャルカンファレンスでも大丈夫です。

  • コミュニケーション

    Slack や Microsoft Teams のグループを用いて、コミュニティメンバー間の摩擦がないコミュニケーションを促進しましょう。

  • 調達

    特別なペンや付箋紙などの消耗品を既存のサプライヤー以外のサプライヤーからも調達できるようにするための回避策を見つけておきましょう。また、現在正式に入手が許可されていないリモートワークに必要なソフトウェアがあるかもしれません。おそらく実践者の中にいるフリーランスや契約社員が対応してくれるでしょう。

外部向けの提案と組織への貢献

一般的に、アジャイルのプラクティスコミュニティで実践していることは、組織のメンバーにも適用できます。例えば、以下のようにしてみてください:

  • 研修を提供

    チェンジエージェントと密に連携して、実践的なハンズオンの研修クラスを提供しましょう。一般的な1日がかりの研修クラスよりも、より大変でない形式を検討しましょう。午後の遅い時間帯に1時間の集中クラスを開催することは、組織にとって適切な形式であることが証明されるかもしれません。ヒント: 参加希望者がどこかに申請しなければ参加できないということは避けましょう。これで参加率を大幅に向上させることができるでしょうまた、これらの軽量なクラスをいくつか組み合わせたカリキュラムの提供も検討しましょう。この形式は、ライブのバーチャル研修でも最適です。もし、このようなバーチャル研修の開催に慣れていない場合は、「Remote Agile (9): A Cheat Sheet for Remote Agile Event Planning」をご覧ください。

  • コミュニケーション

    アジャイルな組織になるための組織の過程を推進するために、アジャイルのプラクティスコミュニティの Wiki だけでなくウェブサイトやブログを運営することを検討しましょう。私がこれまでに見た中では、チェンジエージェントとアーリーアダプターの間での醸成を促進する手段としては、組織内のニュースレターを毎週か隔週で発行することでした。

  • 新入社員には「アジャイル」は必須

    新入社員全員にアジャイルの原則とプラクティスを教育しましょう。会社は再配属しやすくなります。このアプローチについては、「App Prototyping with Absolute Beginners」で詳しく解説しています。

  • 注目を浴びる

    組織にアジャイルを推進し、ハート&マインドを勝ち取るには、個人にとってリスクの少ないレベルで、アジャイルを体験することがもっとも達成しやすいでしょう。例えば、リーンコーヒー(Lean Caffee)やナレッジカフェ(Knowledge Cafes)を定期的に実施することで、アジャイルを体験する安全な環境を提供しましょう。直接関心が持てそうなイベント(例えばスクラムを実践しているならばスプリントレビュー)に彼らを直接招待してみましょう。
    デリラ的な宣伝を歓迎しましょう。私は、自分のチームのスプリントレビューの招待状を印刷し、エレベーターの中や食堂のテーブルにおいたりしていました。

  • チェンジエージェントやスクラムマスターとの連絡手段を提供

    最後に、アジャイルコーチやチェンジエージェントと連絡を取りやすくするために非公式な連絡手段を提供するのはどうでしょうか。多くの人が、下らないと思われてしまう質問をオープンにするのは恥ずかしかったり、嫌だったりします。非公式な連絡手段がわからないと連絡をとるのは難しいかもしれません。

  • 透明性を提供

    職場(ビルやキャンパス)に頻繁に訪れることができる場所にスペースを設けて、「アジャイルとは何か」を提示したり、プラクティスや研修コース、定期的なイベントなどの概要を提供しましょう。

  • イベントを開催

    アジャイルへの移行の先駆者であるチームからの学びを提供するなど、組織のために定期的なイベントを開催するようにしましょう。事前にスケジュールを決めて、それを実施しましょう。「アジャイルになるというのは、すぐになくなる管理上の流行りである」という考えと闘うためには忍耐が重要です。繰り返しになりますが、これは、分散チームでも有効です。詳しくは、「Remote Agile」をご覧ください。

アジャイルのプラクティスコミュニティへの抵抗を克服

これまでのところ、私は、アジャイルのプラクティスコミュニティを作ることについて、組織から大っぴらな反発をまだ見たことがありません。ありがちなのは、マネジメント層の自己満足や無知に出会うことです。ときには、予算編成の過程において、意思の有無に関わらず、コミュニティの立ち上げを妨げることがあるかもしれません。

しかしながら、予算面で制約があっても、アジャイルのプラクティスコミュニティを先に進めていくことは十分に可能です。ビデオ会議やホスティング、ブログ、イベント開催、ニュースレターサービスなど無料で利用できるサービスはいくつかあります。私の経験では、資金の問題というよりも、不安を克服して、承認を得る前に動き出すことが必要です。コミュニティを立ち上げ、移行や変革を前進させることによって、アジャイルの実践者(特にスクラムマスター)としての責任を負うことは、私には、本当のサーバントリーダーシップであると思えます。

アジャイルのプラクティスコミュニティを立ち上げる ー まとめ

アジャイルのプラクティスコミュニティを立ち上げることは、アジャイルな組織になる過程において重要な部分です。プラクティスコミュニティは、アジャイルになることが、危険でも、流行りでも、トレンドでもないことを組織のメンバーに納得してもらうために必要な基盤となります。それゆえに、関係者全員にとって絶好の機会になります。

あなたは、アジャイルのプラクティスコミュニティを持っていますか?もしあるならば、あなたの組織ではどのようなコミュニティのプラクティスが成功していますか?コメントで教えてください(※訳注: コメントは、オリジナルの記事にお願いします)。

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長沢 智治

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