翻訳記事

この投稿は、「Product Ownership - Top Ten Points」の翻訳です。翻訳については、著者の Steve Trapps さんに快諾いただきました。誤字脱字や誤訳がありましたらご指摘ください。

はじめに

2019年5月に、Agile Manchester Conference にて、「The Product Owner's Toolbox」という講演をしました。

そこで、私は、参加者のみなさんに質問をしてみました。

プロダクトオーナーにとって一番の悩みはなんですか?
そして、参加者のみなさんに1分間考えてもらいました。リベレイティングストラクチャー(Liberating Structure)の 25/10 を用いて、参加者と共にプロダクトオーナーが直面している共通の課題と、それらの解決見込みについて認識合わせをしました。
Product Ownership - Top Ten Points
注記: ここに挙げられた意見は、今回のグループによるものです。質問に対する複数の異なる答えや解決策があるでしょう。したがってあなたの悩み事が以下のリストになかったとしても落胆しないでください。あなたの悩み事は妥当です。

悩み事トップ10

ここでは、今回のグループででてきた上位10の項目を紹介します。ランキングは、グループでの人気順になっています。

10位. ビジネスはより速く "IT" を求めている

あなたの利害関係者が昨日にすべてを求めているとき、プロダクトオーナーとして、実証的なエビデンスを用いて何が可能なのかを説明しましょう。そうすると、利害関係者からの期待に応えられなかったときに説明する(あとになって説明する)よりも簡単な対話ですみます。

9位. 利害関係者からの優先順位の競合

理解関係者によって優先順位が競合している場合は、プロダクトオーナーとして、関係者を召集して一緒に対話をしましょう。価値と緊急性についてディスカッションしましょう。

8位. ビジネス側が、顧客やユーザーのニーズに反する方向性をプロダクトに押し付ける

このような時は、プロダクトオーナーとして、今こそ、ユーザーリサーチの実証を示し、交渉したり、促す時です。ただし、今まで以上にあなたはあなたのバックログに責任を持つべきです。

7位. 納期に間に合わない

予定していた納期に間に合わないと感じた場合、プロダクトオーナーとして、納期を別の日程にずらすか、スコープを小さくし、利害関係者と協力して期待値を管理するかいずれかを検討しましょう。

6位. ユーザー機能の追加に時間がかかりすぎるか、リリースするのが遅い

このような時は、プロダクトオーナーとして、優先順位づけられた同時進行の作業(*)を減らし、小さな価値をの積み上げに集中してみてください。

* 訳注: スプリント内で複数のPBIの作業に取り組む際は、逐次ではなく、同時進行で複数のPBIに取り組むことが多いです。それを一つのPBIに集中し価値を出すことに集中しようということですね

5位. これってビジネスの問題に対処してない?

このような時は、早期のデリバリーと頻繁なフィードバックにより、これらの問題を和らげる手助けをしてあげましょう。

4位. プロダクトがビジネス価値を提供していない

プロダクトがビジネス価値を提供していないと心配するならば、プロダクトオーナーとして、バックログアイテムが単なるタスクや技術的な課題ではなく、価値を重視したものであるかを確認してみてください。

3位. 正しいものを作っているのだろうか?

正しいものを作っているか疑問に思ってしまったら、小さなパーツに分解して、少しずつリリースして、フィードバックを得るようにしましょう。

2位. 私たちは、正しいものを作れているだろうか?

このように自問自答するプロダクトオーナーとして、迅速なフィードバックを得るための可能な限りの多くの方法を見つけましょう。

1位. 正しいものを作っている!

プロダクトオーナーとして正しく作っているか心配になる場合は、より速いフィードバックループを心がけましょう。リリースすることは、仮説を検証する唯一の方法です。

はい。上位(1位〜3位)がほぼ同じだということに気付いたと思います。30〜40人のグループで、グループからでてきたプロダクトオーナーの主な悩み事のトップが、これです。

私たちは正しいことをしているか?

これはグループにとってとても重要です。そして、スクラムでは、「検査」と「適応」そして、「透明性」が3つの柱である実証主義を実践する機会が多くある理由でもあります。

すべてのイベント(スプリントプランニング、デイリースクラム、スプリントレビュー、スプリントレトロスペクティブ)では、作成物を検査し、そのための道筋を適応する機会があります。フレームワークが、その中のロールと彼らの懸案事項をサポートするのに役立つことは不思議です。

お知らせ

私のコースを受講した方には、私との補完的なコーチングセッションを提供いたします(Co-Active コーチングセッションを体験できます)。コースの詳細は、https://www.scrum.org/classes?uid=226040 をご覧ください。ご希望のコースが見つからない場合は、私のプロフィールページ https://www.scrum.org/steve-trapps からご覧ください。コーチングの詳細はこちら https://www.theagiletrainer.com/coaching をご覧ください。

 

本記事の翻訳者:

長沢智治

長沢 智治 - アジャイルストラテジスト

サーバントワークス株式会社 代表取締役。Helpfeel Inc. アドバイザリーボード。DASA アンバサダー/認定トレーナー。

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認定スクラムマスター
DASA Accredited DevOps Trainer
DASAアンバサダー

『More Effective Agile』、『Adaptive Code』、『今すぐ実践!カンバンによるアジャイルプロジェクトマネジメント』、『アジャイルソフトウェアエンジアリング』など監訳書多数。『Keynoteで魅せる「伝わる」プレゼンテーションテクニック』著者。

Regional Scrum Gathering Tokyo 2017, DevOpsDays Tokyo 2017, Developers Summit 2013 summer 基調講演。スクー講師。

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