働き方改革の違和感

以前に書いたエントリーに多くの方から反響いただきました。

ここでは、「暗黙知との付き合い方」がカギを握っているのではないかという提言で締めくくりましたが、今回はその続編に位置付けられるかなと思います。

現状を知らない改革者たち

「働き方改革」、「プロセス改善」、「ツール導入」という切り口だと、まず「ルール化」、「プロセス化」、「ツール導入」、「自動化」というのがどうしてもでてくるようです。それに加えて、「事例」がものをいいます。

でもどれもこれも正解に近く魔法の言葉に思えていて、実は一番正解に近づけなくなる悪魔の言葉なのではないかと思えてなりません。

その根本は何かというと、「現状をみない」ことなんですね。現状をしらないでよくするためにいらないもの、辛いものを追加されたら、余計に辛くなる一方です。旗振り役の満足感を得るためにやるもんではないですよね。

そして、その次、現状をみたいという渇望からでてくるのが、形式化しましょうという恐喝です。

物騒な言葉をあえて並べてみましたが、実際にむちゃぶりされた従業員、チームメンバーからしたらそれくらい物騒な取り組みと感じることが多いでしょう。

ツールの導入に長年携わっていると、一つの疑問が浮かび上がってきました。それは、なぜツールに期待して、人に期待しないのか?ということでもあります。

属人的でよろしくないから形式知にしよう、だからツールを導入して、そこに貯めていこう

そんなアプローチを多くみてきました。もちろんうまく行くこともありますが、たいていことがおおごとになりすぎて、浸透しなかったりするものです。うまくいっても多くの血が流れます(比喩ですよ)。

最終的には、「選定したツールがよくなかった」に落ち着かせることも多いですね。めでたし、めでたし?

形式知と暗黙知

現場で起きていることは、必ずしも形式知にできないし、形式知にしていくには段階があるはずです。SECI モデルなどをみてもわかるように繰り返しであり、決して暗黙知を撲滅することが目的でもないでしょう。

形式知と暗黙知は、表裏一体であり、それぞれの良さがあります。例えば、スピード重視などは、コミュニケーションコストが少なくて済む方を選択した方がいいです。クリエイティブなものとそうでない生産作業とで同じことが言えるわけでもありません。

暗黙知を知ることからはじめよう

現状を知るということは、暗黙知を知ることと等しいことが多いです(逆に、現状が形式知化で縛られすぎていて、硬直化、思考停止してしまっていることもありますね)。

暗黙知を知ることで、それを形式知にした方がいいのかわかるし、形式知化することで、それ以外が暗黙知として存在している事実を知ることができますよね。形式知にできないものに価値がないとか、すべてを形式知にしたなんて思わない方がいいです(血が流れます)。

そこで、先日ツイートしたのが以下です。

どうでしょうか?こう考えてみたら、先に進めそうになりませんか?

費用対効果という魔法の言葉

何か改善したいと思った時やツールの導入といったときに必ずでてくるのが、費用対効果(ROI)についてです。これについても先のツイートにかぶせる形で言及しました。

たぶん、ROI をだすレベルに現場が達していないことが多いのだと思うのです。それでいて ROI を求められたら、突然の壁にぶつかって何もできないか、何もする気がなくなるでしょう。それか、苦し紛れの事実を作って ROI を捻出することになってしまいます。

それならば、費用対効果ではなく、機会損失として捉え、仮説と検証のサイクルを短く回してみませんか?

大丈夫です。うまくいかない現場ならすぐにうまくいかないことがわかります。ほんの少しうまくいった実感もみんなで分かち合うことができます。

ぜひ、大きな計画に飲み込まれないようしてみてください。

本記事の著者:

長沢智治

長沢 智治

サーバントワークス株式会社 代表取締役。NOTA Inc. アドバイザリーボード。DASA アンバサダー/認定トレーナー。

『More Effective Agile』、『Adaptive Code』、『今すぐ実践!カンバンによるアジャイルプロジェクトマネジメント』、『アジャイルソフトウェアエンジアリング』など監訳書多数。『Keynoteで魅せる「伝わる」プレゼンテーションテクニック』著者。

Regional Scrum Gathering Tokyo 2017, DevOpsDays Tokyo 2017, Developers Summit 2013 summer 基調講演。スクー講師。

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