OKR

Google さん、Facebook さんでの事例から OKR を導入する企業が増えていますね。

OKR は、Objectives と Key Results からなります。OKR については、いろあろなところで取り上げられていますので、ここでは割愛します。

最近は、「OKR って言葉を変えているだけで、スコアカードとか、KPI と同じだよ」とか「O と KR は1対1だから、議論も検査の余地もないただ実行しろ」とか耳にすることも増えてきました。本当にそうなのでしょうか??

OKR はブレイクダウンさせる

OKR は、会社→事業→部門→部署→チーム→個人 というようにブレイクダウンされて行くべきです。OKR によって何を目指すのかが明確になり、そのためにやるべきこと、測るべきもの、やらないことを共通認識できるからです。

共通認識がキモであると考えています。会社と個人と考えても、会社の OKR と個人の OKR に何の関係もなければ単なる「目標設定」です。

共通認識が大切なので事業は、会社の OKR のいくつかの KR に沿った OKR を設定して行くことになります。

それが連鎖的にブレイクダウンされていくので、会社と個人の目標設定と結果の整合性が保たれることになります。

整合性が保たれていれば共通認識があるとみなせるわけです。

OKR の 「O」

OKR の O は、Objectives なので、『目標』と訳すといいでしょう。

目標は、達成可能なものよりはチャレンジがあるものが良いとされています。その代わりではないですが、定量的に測れる必要はありません(数値目標である必要もない)。会社の OKR ならば、ビジョンや、今期に成長したいお題のようなものです。

OKR の 「KR」

OKR の KR は、Key Results です。概ね、1以上設定されるので複数形で記述しました。先述のような O の性質から、KR は、より具体的で、定量的で、客観性のあるものを設定すべきです。計画の源であり、動機であり、成果そのものとして評価の対象になるからです。

OKR のブレイクダウンで述べたように、上位の KR のいくつかと関係のある O を設定するようにするのです。

会社から個人まで KR で埋め尽くされたら単なる KPI を設定されてそれに邁進するだけになってしまいます。

KR を達成するために Key Actions (KA)を設定するとより具体的になるのでぜひやりましょう。ただし、下位の O の設定は、KA と関係させるのではなく、あくまで、KR です。

OKR による相乗効果

私は OKR の効果は、目標が明確になり、各位で、目指す結果が明確になることだと思っていますが、それは、会社の目標(使命、ビジョン、大義、存在価値でもいいでしょう)を社内外に示し続けることではないかと考えます。

OKR はブレイクダウンされ、連鎖していくので、上に辿れば共通の認識、目標が必ずあります。したがって、自分の部門や自分の OKR だけを見てしまいがちなところから、お互いの目標を達成するための共通項を導く効果が発揮しやすい方式だと考えています。

例えば、KA なんかは、いくつかの部門で共通項にしてもいいわけです(それらが各部門の KR に貢献できるのが分かれば良いのです)。

相乗効果は、個人を超え、部門を超え、そして、会社を超え、会社間でも、会社と(その会社に所属していない)個人の間でも起こり得ます。コミュニティとはそういうものです。

そこに妥当性をもたらすのも OKR はとてもよい冷静なアプローチであると考えています。

まとめ

何はともあれ、OKR を単なる目標設定だと考えていたり、KPI と同じだと思っていたりを見かけましたら、組織にとってよろしい方向には行かない怖さがありますので、そこは各社のカルチャーに則り優しく是正できるといいですね。

ここに書いたことが、腹落ちする/しない、合っている/間違っている、なんでもいいので叩き台の材料の一つとしていただければ幸いです。

本記事の執筆者:

長沢智治

長沢 智治 - アジャイルストラテジスト

サーバントワークス株式会社 代表取締役。Helpfeel Inc. アドバイザリーボード。DASA アンバサダー/認定トレーナー。

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認定スクラムマスター
DASA Accredited DevOps Trainer

『More Effective Agile』、『Adaptive Code』、『今すぐ実践!カンバンによるアジャイルプロジェクトマネジメント』、『アジャイルソフトウェアエンジアリング』など監訳書多数。『Keynoteで魅せる「伝わる」プレゼンテーションテクニック』著者。

Regional Scrum Gathering Tokyo 2017, DevOpsDays Tokyo 2017, Developers Summit 2013 summer 基調講演。スクー講師。

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