翻訳記事

本記事は、Johanna Pothman さんの「Why Managers Believe Multitasking Works: Long Decision Wait Times」の翻訳です。翻訳にあたり、Johanna さんからご快諾いただきました。誤字脱字や誤訳がありましたらご指摘ください。

マルチタスクをこなすマネージャー

私がプロダクト管理やプロジェクト管理、ポートフォリオ管理について指導するとき、尋ねることがあります。

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マルチタスク作業がうまくいくと信じているかたはいますか?

いつも、最低でも数人のマネージャー職が手を挙げてくれます。マネージャーは、自身が常にマルチタスクをこなしているから、マルチタスクが効くとしんでているのです。なぜでしょうか?マネージャー職は、作業時間 (work time) が短く、意思決定の待ち時間 (wait time) が長いからです。

マネージャーの時間の使い方

あなたがマネージャーでしたら、あなたの意思決定のためにもらえる時間は以下のようになります:

マネージャーの作業時間は短いです。マネージャーがデータを収集し、初動の判断を行わなければなりません。ほとんどのマネージャーは、最終的な意思決定をすることができません。それは、他の人と協力し合う必要があるからです。つまり、マネージャーたちは、会議をしながら、次の意思決定ができるようになるまで待たなければなりません。

経験上、多くのマネージャーは、会議の準備を事前に行います。マネージャーは、データを収集し、初動の判断を下してから会議を待ちます。会議にはそれほど時間がかからないかもしれません。しかしながら、より多くのデータが必要になった場合は、マネージャーは、より多くのデータを収集し、次の会議を待たなければなりません。

マネージャーは、短い作業時間、それより長い待ち時間となるのです。

チームの時間の使い方

対照的に、(アジャイルかどうかは別にして)うまく機能しているチームの活動は、待ち時間は少なく、作業にほとんどの時間を使っています。例えば、スウォーミングを挙げます。スウォーミングするのにチームがアジャイルである必要はありません。以下は、アジャイルチームのスウォーミンングにおけるバリューストリームを示しています:

技術職(特に、アジャイルチームの一員)には、考えたり、集中したりする時間が不可欠です。チームで仕事をすればするほど、意思決定のための待ち時間は、少なくなるはずです。チームメンバーはその場にいます。チームは待ち時間なしで決断を下すことができるのです。

意思決定の待ち時間が、実作業時間を上回ると、チームはその作業を止めてしまいます。そしてマルチタスクで作業をし始めます。スループットは下がっていきます。

作業時間が、意思決定の待ち時間を上回ると、チームは、一つの作業を完了してから、別の作業に取り組みます。チームのスループットは上がっていきます。

あなたの意思決定の待ち時間、すなわち、あなたのマネージャーのサイクルタイムは長いですか?

プロジェクトの手法に関わらず、技術職のチームには、意思決定の待ち時間を最小限に抑えるために集中する時間が不可欠です。意思決定の待ち時間が必要以上に長くなってしまうと、チームのメンバーや必要な情報が不足している可能性があります。

また、あなたがマネージャーであれば、同じような悩みを抱えているかもしれません。

マネージャーが常にマルチタスクをしているからといって、マルチタスクが作業を完了するための最良の方法であるというわけではありません。

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意思決定の時間を最小限に抑える理由

本記事の翻訳者:

長沢智治

長沢 智治 – アジャイルストラテジスト

  • サーバントワークス株式会社 代表取締役
  • Agile Kata Pro 認定トレーナー
  • DASA 認定トレーナー

認定トレーナー

DASAプロダクトマネジメント認定トレーナー
DASA DevOpsファンダメンタル認定トレーナー

認定試験合格

Professional Scrum with User Experience
PAL-EBM
Professional Scrum with Kanban
Professional Scrum Product Backlog Management Skills
Professional Scrum Facilitation Skills
Professional Product Discovery and Validation
Agile Kata Foundation
DASA Product Management
DASA DevOps Fundamentals

『More Effective Agile』、『Adaptive Code』、『今すぐ実践!カンバンによるアジャイルプロジェクトマネジメント』、『アジャイルソフトウェアエンジアリング』など監訳書多数。『Keynoteで魅せる「伝わる」プレゼンテーションテクニック』著者。

Regional Scrum Gathering Tokyo 2017, DevOpsDays Tokyo 2017, Developers Summit 2013 summer 基調講演。スクー講師。

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