翻訳記事

本記事は、Magdalena Firlit さんの「The Importance of Agile Leaders」を、著者の Magdalena さんの許可を得て翻訳したものです。誤字脱字、誤訳がありましたら、ご指摘ください。

はじめに

アジリティを推進する組織のマネジメント職にとってアジャイルマインドセットは、非常に重要です。私は、さまざまな組織で仕事をすることで、このことを観測してきました。そして、現在もお客様の支援をしながら、目の当たりにしています。

意思決定、行動、方向付け、ビジョンは、多くの場合、マネジメントレベルからもたらされます。これはハイブリッドな世界では特にです。組織がスクラムの導入を検討するときには、チームの働き方の変化を期待するだけではなく、マネジメントチームがどのように運営していくのかを考えることからはじめるべきです。

実のある概念とは、チームや組織にスクラムを導入するときに、リーダーが重要かつ影響力があるということを認識することです。

リーダー自身からはじめる

組織のリーダーが、自分たちの選択したフレームワークとしてスクラムを採用することを検討するならば、変化は、自分たちから始まります。経験上、企業はチームレベルでの変更を期待しますが、そこには組織変革の要件や、さらにはリーダーシップチーム内の要件が考慮されていません。

ヒント:

  • リーダーたちは、自身たちのマネジメントチーム内でスクラムフレームワークを導入することができる
  • マネジメントチームの成熟度を確認し、それに応じて改善をする
  • リーダーたちは、機能横断的なスクラムチームに向けて組織変更を始めることができる
    自己組織化を促進するため、自分たちでスクラムチームを作るようにしましょう
  • プロダクトと価値の提供に集中する
  • リーダーたちは、アジャイル宣言と原則を自身たちの仕事に適用し、チームがそれらに沿えるよう奨励する
  • 文化を変える: 規範を示し導き、チームにアジリティを示す

スクラムフレームワークを用いているリーダーシップチームに会ったことがあります。彼らは私に、「自分たちが実践していないのに、チームがスクラムを用いて仕事をすることをどうやって期待するのでしょうか」と言いました。

複雑さを受け入れる

組織というのは、複雑さを扱うことがとても多いです。プロダクトやマーケットは、「既知の未知」のものが多い複雑な問題領域下にあります。通常、組織は(産業時代から)予測可能性や古いマネジメントの習慣によって複雑さを解決しようとして、よく失敗してしまいます。長期的な予測が誤解を招くことや、マーケットでの機会を逸してしまうこと(もしくは他の望ましくない結果になること)がある複雑な状況において、企業が活動しているという事実を認識し、受け入れることが課題となっています。

複雑な環境において組織が仕事をしている場合、プロダクトのデリバリーは、複雑な問題領域にあります。リーダーたちは、複雑さに対処するために、スクラムフレームワークを導入したり、すでにスクラムを導入している場合は、スクラムを継続的に改善したりできます。

スクラムフレームワークは、このような複雑な問題を解決するために設計されています。スクラムは、「透明性」、「検査」、「適応」という3つの柱からなる実証的アプローチに基づいています。これらはアジャイルマインドセットの重要な要素であり、アジャイルリーダーシップにとっても欠かせないものです。

私の顧客の支援をし、アジリティとスクラムの導入支援をする中で、リーダーたちが、彼らのチームや組織を支援し、このようなマインドセットを築き、文化に取り入れることがより効果的であることを実感しました。

スクラムの価値基準を適用する

アジャイルリーダーたちは、スクラムの価値基準を尊重して、その価値基準によって活動しています。リーダーたちは、よいお手本となり、組織にスクラムの価値基準によってどう活動するのかを教えて、仕事環境を活気付け、重要視しなければなりません。これらの価値基準は、チームとリーダーシップの「架け橋」となり、共に共有し、互いに尊重するものなのかもしれません。これは、組織内に一体感と同一化をもたらします。

妨害要因

スクラムマスターは、スクラムチームの妨害要因を取り除く役割を担っています。スクラムマスターは、何度も試行錯誤を繰り返します。ときには失敗することもあります。多くの場合、スクラムマスターは、自分たちだけでは特定の妨害要因を取り除くことができません。妨害要因に関する意思決定は、マネジメントレベルで行われなければなりません。リーダーは、スクラムマスターが妨害要因を取り除くのを手助けし、プロダクトオーナーや組織と協力してチーム内の問題を解決することができるのです。

まとめ

アジャイルリーダーの重要性と「原動力(primum mobile)は計り知れません。アジャイルリーダーの役割は、組織にとっても、チームにとっても影響があり、明白です。アジャイルリーダーは、文化や仕事環境を変える可能性を持っており、価値を提供することに直接的または間接的に影響を与えます。

アジャイルリーダーシップに関する知識やツールを得たり、実践してみたいと思いませんか?ぜひ私の Professional Agile Leadership - Essentials 研修に参加してみませんか?英語またはポーランド語で提供しています。

本記事の翻訳者:

長沢智治

長沢 智治 - アジャイルストラテジスト

サーバントワークス株式会社 代表取締役。Helpfeel Inc. アドバイザリーボード。DASA アンバサダー/認定トレーナー。

PSPO II - Professional Scrum Product Owner II
PSPO I - Professional Scrum Product Owner I
PSM II - Professional Scrum Master II
PSM I - Professional Scrum Master I
PSD I - Professional Scrum Developer I
PAL-EBM - Professional Agile Leadership - Evidence-Based Management
PAL I - Professional Agile Leadership I
SPS- Scaled Professional Scrum
PSU I - Professional Scrum with User Experience
PSK I - Professional Scrum with Kanban I
PSF - Professional Scrum Facilitation Skills
PSPBM - Professional Scrum Product Backlog Management Skills
認定スクラムマスター
DASA Accredited DevOps Trainer

『More Effective Agile』、『Adaptive Code』、『今すぐ実践!カンバンによるアジャイルプロジェクトマネジメント』、『アジャイルソフトウェアエンジアリング』など監訳書多数。『Keynoteで魅せる「伝わる」プレゼンテーションテクニック』著者。

Regional Scrum Gathering Tokyo 2017, DevOpsDays Tokyo 2017, Developers Summit 2013 summer 基調講演。スクー講師。

プロフィール