EBM ガイドを翻訳し、公開

Scrum.org で公開されている「改善とアジリティを可能にする価値の計測」のためのガイドの最新版(2020年公開)を日本語に翻訳し、Scrum.org に提供しました。本日、公開されましたことをお知らせいたします。EBM ガイドは、日本語を含め、13の言語で提供されています(現在時点)。

エビデンスベースドマネジメントガイド

EBM (Evidence-Based Management) Guide

翻訳は、2018年版を翻訳し、公開されていた角さんと弊社代表の長沢がともに行いました。

エビデンスベースドマネジメント(EBM)

EBM は、不確実な条件のもとで組織が、顧客の成果(アウトカム)や、組織の能力(ケイパビリティ)、ビジネスの結果を継続的に改善していくための経験的アプローチ(エンピリカルなアプローチ)です。正解があり、予定調和で、遂行できるわけではない複雑な状況での計画、進行、そして「価値」をどういう視点でどういうものを測っていくべきかという計測について考え方です。

EBM ガイドでは、EBM の概念、要素、やり方についてのガイドを提供しています。ガイドでも書かれているようにガイドにあるやり方などを部分的に組織に取り入れることも可能です。すなわち部分的にもとても参考になります。しかしながら、部分的に取り入れた場合は、EBMと呼ぶものではないわけです。

EBM は、スクラムの透明性・検査・適応の3つの柱に対して、組織として、ビジネスとして、顧客の成果への価値としての概念にフォーカスがあたっており、「仮説・実験と計測・検査・適応」とこれらの透明性が重要になります。そのための要素がいくつか体系立てて追加されており、よりビジネスサイドが活用できる経験的プロセス制御になっていると感じています。

EBM ガイドでは、2020年版より内容が刷新されており、「改善のカタ」を用いたモデルが採用されています。複雑で不確実な状況下では、正解となるゴールが明確であったり、変化しないことはありません。したがってその状況を受け入れた計画と進行を行なっていく必要があります。したがって、そのためのゴール設定の仕方(段階的なゴール設定)、状態の認識、小さく短い実験のサイクルが重要になってきます。

ゴールと実験のループ

  • ゴール設定:
    • 戦略的ゴール
    • 中間ゴール
    • 即時戦術ゴール
  • 状態
    • 開始の状態
    • 現在の状態

「戦略的ゴール」は、組織が達成したい重要なものであり大きくて遠いものです。すぐに行き着くものでもないし、道のりがわかっているわけでもありません。したがって経験的に進んでいく必要があります。当然、設定した戦略的ゴールが間違っていたり、不正確であることも折り込んでおくことが重要です。

「中間ゴール」は、戦略的ゴールに向けた「中間」のゴールです。まだ不確実な部分はあるが、戦略的ゴール比べれば十分に仮説・検証可能ではあるはずです。

「即時戦術ゴール」は、中間ゴールに向けた重要な短期目標です。ここで、仮説・実験と計測・検査・適応の「実験のループ」を回します。即時戦術ゴールを設定(仮説)し、実験し、計測し、検査します。その結果から、適応することで、次の即時戦術ゴールが見えてきますし、中間ゴールに向かっているのかも確認できます。「戦略的ゴール」という大目標に対しても、開始の状態(初心)と現在の状態を把握することで方向性の確認、「戦略的ゴール」が適切かを検査と適応することもできます。

EBM ガイド 2020 より引用

重要価値領域(KVA)

上記を理解し、実践したいと思っても、何をよりどころにするのかが明確でないと、絵空事や誰かの自己満足になってしまうかもしれません。そこで大切なのが、重要価値領域(KVA: Key Value Areas)です。これらの領域における明確な指標(重要価値指標 – KVM)により、実験のループを支援します。

  • 重要価値領域
    • 現在の価値(CV)
    • 未実現の価値(UV)
    • 市場に出すまでの時間(T2M)
    • イノベーションの能力(A2I)

この4つはとてもバランスがとれており、これらは、先行指標と遅行指標の関係を形成してくれます。それによって、市場価値と組織的な能力を意識・計測することができるわけです。

EBM ガイド 2020 より引用

PAL EBM 認定資格

EBM は、Scrum.org のアジャイルリーダーシップに関する認定資格である「Professional Agile Leadership – Evidence-Based Management」(PAL-EBM)が設定されているくらい重要な概念です。PAL-EBM は、2月時点で世界で310名程度しか取得していないものです。

代表の長沢は、PAL-EBM の認定資格を取得しており、今回翻訳した EMB ガイドは、この資格を取得する上でもバイブルとなるものでした。英語のドキュメントをもとに、訳していたものがあり、それが今回の日本語翻訳版の公開にも役に立ちました。

PAL-EBM は、EMB を理解していたら取得できるかと言うとそうではありません。アジャイルリーダーシップとしての全般的なものを持ち合わせた上で、EBM に代表されるビジネス視点や目標設定、そして、複雑な組織や、複雑なプロダクト(プロダクトポートフォリオ)、顧客フォーカスについて広く深く理解しておく必要があるものでした(その点では、PSM I, PSPO I, PAL I を取得した上で挑むことを推奨します)。

また、Professional Scrum Product Owner II の認定資格(代表の長沢が資格取得済み)では、EBM の知識と理解も必要となります。PAL-EBM ほど深く知識と理解を求められることはない印象でしたが、プロダクトオーナーとしての実践的なレベルが求められる PSPO II (PSPO III も) においても、EBM は必須であることからも EBM の重要性と、日本語版翻訳の価値があると考えられます。

EBM の導入・実践支援

サーバントワークスでは、事業会社をはじめとした不確実で複雑な事業とプロダクト開発を行なっている企業に向けたエビデンスベースドマネジメントのご支援を承っております。弊社自身が実践している EBM であり、Scrum.orgの認定資格取得者でもある知見をお客様の事業で活かしてみませんか?

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