はじめに

アジャイルストラテジストとして、アジャイルコーチとして、さまざまな現場の伴走支援をさせていただいています。そこには大きなチャレンジ、小さなチャレンジがたくさんあり、それぞれのお立場で精力的にまたは、静かに粛々と、取り組みが行われています。

それらは等身大であったり、多くの未来を見据えていたり、多岐にわたるため、全員が足並みを揃えるのは困難なときもあります。また全員の足並みが揃っていればいいというわけでもありません。

多様性と一貫性がある活気あるチャレンジを生むには、それらをできるだけ見えるカタチで表現することも大切になってきます。カタチになれば、詳細説明をスキップできる可能性が高まります。それでいて、それぞれの粒度、それぞれの立場による歩み方を吸収して方向性を示し、一致させていくチカラになっていきます。

キャンバスで示す

まだ名前はついていませんが、下図を用いて、組織やチームの方向性と今起きている「事実」を可視化する取り組みをいくつかの支援先で行なっています。うまく活用いただいている現場さんが多くありますので、2023年末でもあるので、共有します。

事実を集めるところからはじめる

大事なことは「今起きていること」です。これは事実と意見(あと、感情)を分けて、事実を挙げていきます。事実に対して取り組むべきことを「実験」にしていきます。実験なので前後関係が必ずあり、検証可能である必要があります。検証は、「あるべき姿」に沿っているかで判断できるはずです。それは「ありたい姿」に関連しているはずです。

事実から方向性への実験に取り組む

この関係性は、暗黙的には理解でき、共通認識が取れていると錯覚しがちです。また、できていると信じたい部分でもあります。しかしながら、実際は共通認識できていなかったり、より良いアイデアがあるのに共有されなかったり、協力できなかったりします。

たった1枚で表現できるキャンバスを用いることで、今まで暗黙的であったものが共通認識できれば、本当に取り組むべき活動に邁進できるのではないでしょうか。

たったこれだけではありますが、「枠」を設けることで、埋めていくという動作を促します。一度でもうまくいった体験ができさえすれば、自然と事実を共有する振る舞いが生まれます。実験が身につくと成果とつながるため、取り組みが加速していきます。ぜひお試しください。

自分たちだけではなかなといった場合は、第三者がきっかけを与えたり、促したりすることで加速する場合もありますので、ご相談ください。

本記事の執筆者:

長沢智治

長沢 智治 - アジャイルストラテジスト

サーバントワークス株式会社 代表取締役。Helpfeel Inc. アドバイザリーボード。DASA アンバサダー/認定トレーナー。

PSPO II - Professional Scrum Product Owner II
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認定スクラムマスター
DASA Accredited DevOps Trainer
DASAアンバサダー

『More Effective Agile』、『Adaptive Code』、『今すぐ実践!カンバンによるアジャイルプロジェクトマネジメント』、『アジャイルソフトウェアエンジアリング』など監訳書多数。『Keynoteで魅せる「伝わる」プレゼンテーションテクニック』著者。

Regional Scrum Gathering Tokyo 2017, DevOpsDays Tokyo 2017, Developers Summit 2013 summer 基調講演。スクー講師。

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